【オーストラリア留学】Canning Collegeのファウンデーションコース WAUFP

オーストラリアの大学へ進学を考えているなら知っておきたいことの一つであるファウンデーションコース。ファウンデーションコースでは大学準備コースとして英語力はもちろん、大学入学した際に必要になってくる課題への取り組み方、スキルを学ぶことができます。

しかしながら、このファウンデーションコースについてあまり詳しいものがネット上で検索しても出てこなかった経験があるので、このエントリーで実体験を交えつつThe Western Australian Universities' Foundation Program (WAUFP)を紹介できたらと思います。ファウンデーションコースの概要とかはエージェントさんの方が情報を持っているのでそういうものは軽く触れる程度にします。

カレッジに行っていたのがだいぶ前のことなので抜け漏れがあるかもしれません。

目次

大学への経路

大学への主な経路は以下の通り (日本の高校から行く場合)。

  • 日本の高校→語学学校 (英語力が足りない場合)→ファウンデーションコース→大学
  • 日本の高校→語学学校 (英語力が足りない場合)→ディプロマコース→大学

筆者の場合、

日本の高校→浪人→半年ニート→語学学校→ファウンデーションコース→大学

という感じで少しイレギュラーな形でオーストラリアの大学へ進学しています。

もし英語力が足りていて、ファウンデーションコースから始めることができれば、大学はほとんどの学部が3年で卒業となるので、日本の大学に進学した生徒に遅れをとることはありません。

条件付き合格について

多くの方が大学の条件付き合格をもらった状態でファウンデーションコースに進むと思われるので少しそれについて書いておきます。

学歴や英語力が足りていない場合でも、語学学校やファウンデーションコースで一定の成績をクリアすることを条件に条件付き合格を大学から認めてもらうことができます。

また、パッケージオファーをすることにより、語学学校+ファウンデーションコース+大学と全てのコースを一括して出願することもできます (筆者はこれでやりました)。これを行うことで学生ビザを一度で最終年まで手に入れることが可能となります。

ファウンデーションコース (WAUFP)の概要

ファウンデーションコースとは名の通り、大学で必要になるであろう基礎学力やスキル (例えばプレゼンテーションスキルやレポートの書き方など)を学び、よりアカデミックな英語を身につけていくコースになります。

このCanning Collegeで開講されているファウンデーションコースのWAUFPは他の州の大学への出願にも使えるので、行きたい大学が変わったときにも対応できます。実際複数の友人がグループオブエイトの一校である他州のメルボルン大学に進学していきました。

入学時期

入学機会は1年に3回あり、

  • 1月〜11月

  • 4月〜11月

  • 8月〜翌年6月

となります。筆者は2番目の4月入学をしました。これは語学学校の通う期間によって変わってきます。

入学条件

日本で英語力を測るテストとして有名なのはTOEICや英検だと思いますが、これらの試験はオーストラリア留学する上では役に立ちません。

オーストラリアではIELTSを主に採用し、ファウンデーションコースに入るにはオーバーオールで5.5以上のスコアが必要になります。

英語力が足りない場合は、上記にも書きましたが語学学校に通うことになります。

また高校時の成績の目安は5段階評価で3.5になります。

入学テストが多分ある

これエージェントさんから言われていなかったんですが、入学テストがありました。カレッジの方からいきなり語学力テストの案内が来て焦った記憶があります。また他のエージェントさんのサイトを見ても特に試験について記述がなかったので、もしかしたら出願時に規定のスコアに達していない人だけ、またはCanning College独自のものかもしれません。試験があるか気になるのであれば通われるコースに問い合わせをしましょう。

ちなみに試験内容は、短文のエッセイを2本、下線部をパラフレーズ、あとはよくある記述問題だった気がします。そんなに難易度は高くないですが、日本の英語のテストと違うところは自分の言葉を使って問題を解くということ。書き換えられる文中のフレーズをそのまま使うと減点や点がもらえなくなるので語彙力をしっかり身につけておく必要があります。

しかもこのカレッジでのテストに加え、語学学校の方でもテストがあったのでなかなか大変でした。どちらか落としていたら、進学予定が大幅に狂う可能性もありました。ちなみに、カレッジのテストに落ちたら、次の入学時期、つまり8月まで待たなくてはなりませんでした。

後日談として、両方のテストに無事受かってはいたんですが、どこかで成績のメールが止まっていて、カレッジの方から合格通知がこず、すごくヒヤヒヤした思い出があります。カレッジの方に直接赴いて確認したのでよかったものの、これ以外にも結構似たような経験をしているのでこれがオーストラリアのムードかもしれません。

科目

必須一科目に加え選択科目から少なくとも三科目選びます。選択科目については進学する学部が設定しているものを選択する必要があるのでしっかりと確認しましょう。

必修科目

English Language and Australian Cultural Studies (ELACS)

ELACSはオーストラリアの文化を学びながら英語力を上げていく科目となります。このELACSには2種類授業があり、Part Aの方ではスピーキングやライティングといったアウトプットスキルに重点を置いた授業が多く、Part Bの方ではリーディングやリスニングといったインプットスキルを向上させる授業が行われていました。

2週間置きにそれぞれのパートでテストや課題がありました。つまり英語に関しては、毎週テストまたは課題があったことになります。

Part A

エッセイやレポート、プレゼンテーションが主なテストや課題になりました。エッセイに関しては前もってお題が与えられており、下調べできる期間があります。ただし、試験にノートなどは持ち込めません。レポートもテーマリストが配られ、それぞれがテーマを選び、個々で期限日までにTurnitinに提出する流れになっていました。大体のプレゼンテーションは2-3人のグループで行いますが、最後のプレゼンテーションだけは自分一人で行うものになりました。

Part B

こちらのパートだけどういったテストがあったか曖昧なんですが、確かリスニングしながら、ノートをとり、その後に問題が配られて、その問いに沿うようにエッセイを書くなんてものがあった気がします。あとはパラフレーズを含む記述問題が出た感じでした。

選択科目 

数学

数学は3つのレベルがあり、Mathematics Applications (数学IAレベル)、Mathematics Methods (数学IIBレベル)、Mathematics Specialist (数学IIIレベル)から選ぶことができます。筆者の希望する学部は全てApplicationで十分だったので数学に関してはだいぶ楽ができました。

高校時代、数学はどちらかというと苦手でしたが、そんな筆者でも成績は常に1番か2番だったので日本の数学よりもはるかに簡単かもしれません。

テストについてですが、各自で用意したノートを持ち込むことができます。またPart A、Bがあり、Part Aは計算機なし、Part Bでは計算機が必要になる問題が用意されています。

物理

基本的に日本の高校で習うものを英語で習う感じになります。問題の意味さえわかれば、あとは手を動かすだけなんですが、厄介だったのは相対性理論の記述問題があったことです。ここのテストだけあまり点数が取れませんでした。そもそも日本の高校で相対性理論について学んだ記憶がなく、それを英語で学ぶのは大変でした。

日本の高校と違い多くの実験を行い、実験ノートや実験の仕方なども成績に含まれました。

高校時代の物理の成績は決して良くなかった筆者でも、こちらではまあまあな成績を収めていたので、物理が得意と言う人は余裕でついていけると思います。

心理学

心理学に関してはカレッジ時代に取らなければよかったと何度も後悔した科目でした。日本語での知識がゼロの状態で英語で学び、授業中に理解するのはやはり至難の業です。何分専門用語がわかりませんでした。

そこで日本語の心理学書を親に送ってもらい、それで予習をしてから授業に出るようにしました。そしたら、授業中に十分に理解できるようになり、テストでもなんとか点数を取れるようになりました。

また、大学でも必修科目として心理学を学ぶ機会がありましたが、カレッジ時代に苦しんだおかげでだいぶ楽に単位が取れました。

上記以外の選択科目
  • Accounting and Finance
  • Business Management and Enterprise
  • Chemistry
  • Computer Science
  • Earth and Environmental Science
  • Economics
  • Human Biology

4 月入学では選択できない科目もありました。

試験及び成績

各科目のテスト及び課題の日程や配点の表は最初の週に伝えられ、このテストでこれくらいの点数を取ればいいんだなと言う指標を早くに立てることができます。

これらのテストや課題に加え、カレッジが用意する中間試験、期末試験及びTISCと呼ばれる機関が用意するWAUFP examがあります。中間試験や期末試験を含むカレッジ内部での成績は日本で言うところのセンター試験の点数、TISCが用意する外部試験の成績は2次試験の点数といったところでしょうか。

カレッジ内部の成績はクラス内順位を含め学生専用ポータルで逐一確認できます。

TISCのテストに関しては、必修科目である ELACSに加え、選択科目のテストを受けることになります。また、一般常識テストみたいなものがありましたが、大して難しくないので説明は省きます。

最終的な成績の出し方は

  • 選択科目の上位三科目のカレッジ内部での成績の平均を出す (50%)
  • TISCの用意した試験の成績の平均を出す (50%)
  • 上記二つの成績を合算する。(100%)

といった感じになります。

例) 物理70%、数学85%、心理学55% → 平均70% (カレッジ内部での成績)

               65%、  80%、   50% → 平均65% (TISCの用意したテスト)

二つの成績を合算すると最終的な成績が出る → 67.5%        

ELACSの方も同様にカレッジ内部での成績とTISCの試験の成績を合算したものが最終的な成績になります。しかしこちらにはボーナス点が与えられ実際の成績よりも点数が上がると言うことが起きます。 

また期末試験が近づいてくる頃に、カレッジ側から進学希望表を渡され、自分の希望する学部を書いて提出します。既に条件付き合格をもらっていても提出することができました (第一希望に必要な成績が取れなかった時の保険として)。もし条件付き合格をもらっている学部に進学できずに第二希望の学部に進学する場合など、本来の予定と違うことが起きたら、早めに大学側に連絡しましょう。

大学進学に必要な成績についてですが、これは大学または学部によって違ってきます。カーティン大学の場合、当時の第一希望であった理学療法が70% (ATAR90)、第二希望であったスポーツ科学が54% (ATAR70)でした。しかしこの数字は当時と今で変わっている可能性があります。

またELACSの点数に関しては50%取れていれば大学入学に必要な英語力を有していると判断されます。

成績は郵送されてくる

最終的な成績は郵送で日本の自宅に送られてきました。本来は郵送されてきた成績を見るまでは大学に受かったかどうかわからないはずですが、筆者の場合申請していた学生寮の方から先に申し込み用紙が来たので、成績を見る前にどっかの学部には受かったことが判明しました。当時の第一希望であった理学療法の成績には届きませんでしたが、第二希望のスポーツ科学に進学することができました。結局は今いるバイオメディカルの学部に学部編入するわけですが。

色々振り返り

最後に色々カレッジ時代の思い出を書いていきます。

日本人は一人だけ

クラスの構成は、インドネシアからの生徒が大半で、あとはマレーシア、シンガポール、ブルネイ、ベトナム、中国、韓国から大体二、三人ずつで、一人ですと言うのは日本人の筆者だけでした。それでもみんな日本に興味があるのかすごく気さくに話しかけてくれ、コミュニケーション能力の低い筆者にとって非常にありがたい雰囲気を作ってくれました。

大学付属語学学校や、大学の学部もそうですが、日本人の同級生がいたことはありません、いたとしても違うクラスに一人いる程度でした。ですがいなかったところで別の国の友人ができるだけで何も困ったことは起きません。むしろ英語力、とりわけ日本人の大抵が苦手としているスピーキング能力を伸ばすチャンスと言えます。

最初はやはりついていくのが大変

物理や数学はある程度最初から余裕があったのですがELACSの授業についていくのがとても大変でした。まず他の生徒と英語力が違いすぎました。特にスピーキング能力の差が顕著で他の多くの生徒はすでにネイティブレベルと言っても過言ではない流暢な英語を話していました。

また筆者は単語帳を使って勉強するのを高校時代から嫌っていたので語彙力がなくパラフレーズで苦労することになりました。文章問題の答えが分かっても文中の言葉をそのまま使うと点がもらえなくなるので最初のテストでは本当にひどい点を取りました。

それでも毎日友人と接していくうちに少しずつ自分の英語も改善され、ELACSのテストでも最後の方は上位に食い込めるレベルに達することができました。なので、はじめの時点で英語力に差があっても落ち込む必要はありません。

とは言っても筆者の場合、他の生徒からしたらお前勉強しなさすぎだろと言われるくらいあまり勉強した記憶がありません。そんな筆者でも無事試験を突破し大学進学に必要な成績を収めることができたので、これからファウンデーションコースに進まれるであろうみなさんも大丈夫でしょう。

大学から奨学金がもらえた

大学合格時に返済不要の奨学金をもらうことができました。ディプロマコースから大学に入学した友人に聞いたところ奨学金は貰わなかったということなので、ファウンデーションコースからカーティン大学に入学した生徒だけもらえるものかもしれません。

最後に

オーストラリアの大学に進学する前に経由するファウンデーションコース。ここで苦労しておけば大学での勉強が少し楽に感じることができるかもしれません。自分に合った勉強法を身につけ、友人や先生の助けを借りながら、充実したカレッジ生活を送りましょう。

役立つサイト

最後に参考になるサイトを紹介します。

WAUFPの概要が詳しく載っているサイト

www.tisc.edu.au

自分の行きたい学部に必要な成績を調べられるサイト(ただしATAR表記)

www.tisc.edu.au